金属イオンの定性分析 | みくあす化学館

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金属イオンの定性分析

 

今回は、金属イオンの定性分析について。

 

 

金属イオンは、
ある陰イオンと反応して
沈殿を生じるものがいくつかあります。

 

この特徴を利用して、
水溶液の中にどんな金属イオンが
含まれているか調べることができます。

 

これを、金属イオンの定性分析といいます。

 

 

定性分析ではこれらの陰イオンと反応させます。
塩化物イオン(塩酸)
硫化物イオン(硫化水素)
アルカリ(アンモニア)
酸化剤(硝酸)
炭酸イオン(炭酸アンモニウム)

 

これらはどれも金属イオンは含まれていませんね。
金属イオンの定性分析なんだから金属イオン入れちゃったらアウトです。
塩化物イオンとして塩化ナトリウムを使ったり
アルカリに水酸化ナトリウム使っちゃダメです。

 

 

硫化物はほとんどの金属が沈殿します。
(1族、2族は沈殿しない。)

 

しかし、酸性だと沈殿しない硫化物があります。
イオン化傾向の大きい金属は
酸性だと硫化物が沈殿しません。

 

酸性で沈殿しない硫化物は
鉄イオンFe3+
ニッケルイオンNi2+
亜鉛イオンZn2+

 

逆に、酸性でも沈殿する硫化物は
銀イオンAg+
銅イオンCu2+
鉛イオンPd2+

 

比較的イオン化傾向が小さい金属です。

 

 

金属イオンの定性分析では
入れる試薬の順番が決まっています。

 

最初に硫化物イオンを入れてしまったら
全部沈殿してしまって何がなんだか分からないですよね?

 

まず最初は塩酸を入れます。

 

例として、次の金属イオンを調べてみましょう。
銀、鉛、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、
バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム

 

 

塩酸で沈殿するのは
銀と鉛だけです。

 

塩酸を入れて沈殿すれば
銀か鉛があるということです。

 

ろ過して沈殿を取り除けば、
水溶液中の銀と鉛は無くなります。

 

残りは
銅、鉄、亜鉛、ニッケル、
バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム

 

次に、硫化水素を吹き込みます。
(もしくは硫化水素水を加える)

 

塩酸で酸性になっているので、
銅だけ沈殿します。

 

銀と鉛はさっきろ過したので
もう入っていません。
だから沈殿しない。

 

残りは
鉄、亜鉛、ニッケル、
バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム

 

次に、水溶液を蒸発させます。
ここで一旦塩酸と硫化水素を除去します。

 

 

さっき硫化水素(還元剤)を入れたので
3価の鉄Fe3+は還元されて2価Fe2+
なってしまっています。

 

なので、3価に戻すために
硝酸(酸化剤)を入れます。

 

 

そしてアンモニア水(アルカリ)を過剰量加えると
鉄と亜鉛が沈殿します。

 

ニッケルもアルカリで沈殿するけど
過剰量のアンモニア水には溶けてしまいます。

 

 

鉄をろ過して取り除きます。

 

残りは
ニッケル、バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム

 

 

アンモニアで塩基性になっているので
ここでもう一度硫化水素を吹き込みます。

 

すると、さっき沈殿しなかった
ニッケルが沈殿します。

 

これをろ過して取り除きます。

 

ここで水溶液中に残っている金属は
1族と2族の金属だけです。
バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム

 

2族金属(カルシウム、バリウム)は
炭酸アンモニウムを加えると炭酸塩が沈殿します。

 

これをろ過すると、
残りは1族(ナトリウム、カリウム)だけです。

 

 

1族は何を入れても沈殿しません。
なので炎色反応で確認します。

 

炎色反応が
オレンジならナトリウム
紫ならカリウムです。

 

 

これでおしまいです。
何を加えたときに沈殿したかを見ることで、
どの金属イオンが含まれているかが分かります。

 

 

実際は、沈殿をろ過した後、
その沈殿を使って確認試験をします。

 

例えば、塩酸を加えたときに生じる白色沈殿は、
銀なのか鉛なのか分かりません。

 

しかし次に示すような
確認試験をすれば銀なのか鉛なのか分かります。

 

 

確認試験の一覧を載せておきます。

 

 

銀(塩化銀)

 

アンモニア水に溶かす。
アルデヒドを加えて銀鏡反応。

 

 

鉛(塩化鉛)

 

熱水に溶かす。
クロム酸イオンを加えて黄色沈殿(クロム酸鉛)

 

 

銅(硫化銅)

 

硝酸に溶かす。
アンモニア水を過剰に加えて
濃青色溶液(テトラアンミン銅イオン)。

 

 

鉄(水酸化鉄)

 

塩酸に溶かす。
ヘキサシアノ鉄(V)酸イオンを加えて濃青色沈殿。

 

 

亜鉛(水酸化亜鉛)

 

塩酸に溶かす。
水酸化ナトリウム水溶液を過剰量加えると
一度白色沈殿が生じてから
溶けてなくなる(テトラヒドロキソ亜鉛酸イオン)。

 

 

ニッケル(硫化ニッケル)

 

硝酸に溶かす。
アンモニア水を過剰に加えて
緑色溶液(ヘキサアンミンニッケルイオン)。

 

 

バリウム(炭酸バリウム)

 

塩酸に溶かす。
クロム酸イオンを加えると
黄色沈殿(クロム酸バリウム)

 

もしくは炎色反応(黄緑色)

 

 

カルシウム(炭酸カルシウム)

 

塩酸に溶かす。
炎色反応(橙赤色)

 

 

 

それでは、今回はここまで。

 

 

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